L-016 腰痛を早く治すために日常生活で気をつけること【後編】運動・体重管理・再発予防|自分の腰痛を理解する

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L-016 腰痛を早く治すために日常生活で気をつけること

【後編】運動・体重管理・再発予防|自分の腰痛を理解する

監修

合田 猛俊

佐々木 拓郎

清藤 直樹

前編では中腰・家事・重い物の持ち方や温める・冷やす判断、中編ではデスクワーク、運転、睡眠、コルセットについて解説しました。

後編では、腰痛があるときの運動、スポーツ復帰、体重管理、そして同じ腰痛を繰り返さないために最も大切なことを解説します。

腰痛の再発予防で重要なのは、すべての患者さんが同じ運動や同じ生活をすることではありません。

まず自分の腰痛が『なぜ起こったのか』『どの動作で悪化するのか』を理解し、自分に合った対策を身につけることが大切です。

腰痛対策は、患者さん一人ひとりに合わせたオーダーメイドで考える必要があります。

21.痛みを我慢して運動することは勧めません

腰痛がある患者さんから、「痛くても運動した方が早く治りますか?」と聞かれることがあります。

痛みがある時期に、その痛みを我慢しながら強い負荷をかけることは基本的には勧めません。

特に若い方やスポーツ選手では、「痛くても頑張る」「苦しさを乗り越えることがトレーニング」と考えてしまうことがあります。

しかし、トレーニングによる苦しさと、身体を傷めているときに出る痛みは別のものです。

痛みのある部位にさらに負荷をかけ続ければ、症状が長引いたり悪化したりする可能性があります。

休める時期があるのであれば、休むことも治療の一つです。

22.ウォーキングは比較的始めやすい運動です

腰痛があるときでも、歩くことで症状が強くならない方では、ウォーキングは比較的取り入れやすい運動です。

ただし、「毎日30分歩けばよい」というように全員に同じ時間を決める必要はありません。

歩いている途中で腰痛や下肢のしびれが強くなる場合には、その時点で無理をせず休みます。

最初は短時間から始め、症状が悪化しないことを確認しながら少しずつ活動量を戻していくことが大切です。

運動をすることそのものより、『運動したあとに症状がどう変化するか』を確認してください。

23.「腰痛なら腹筋・背筋を鍛えればよい」とは限りません

腰が痛いと、「腹筋と背筋を鍛えなさい」と言われることがあります。

痛みがない時期に、適切な方法で体幹筋力を維持することは腰痛予防に役立つ場合があります。

しかし、痛みが強い時期に無理な腹筋・背筋運動を行うことは勧めません。

特に椎間板ヘルニアなどで症状がある場合、強い腹圧がかかる運動によって痛みが誘発されることがあります。

傾斜をつけて頭側を低くするなど、高い負荷をかけた腹筋運動は、症状がある時期には避けた方がよいと考えています。

筋力訓練は『強ければ強いほど良い』のではなく、病態と時期に合わせて行うことが重要です。

24.スポーツ復帰は「痛みが完全にゼロか」だけでは決めません

スポーツ復帰の判断は非常に個別性の高い問題です。

痛みは患者さん本人にしか分からない部分が大きく、単純な数値だけで復帰の可否を決めることはできません。

特に学生スポーツでは、大会が近い、チームの人数が少ない、自分が出なければ試合が成立しないなど、現実的な事情もあります。

そのため当院では、「少しでも痛ければ絶対にスポーツ禁止」と一律に決めるわけではありません。

本人が我慢できる範囲で、運動によって症状が明らかに悪化しないのであれば、状況に応じて活動を続ける選択肢も考えます。

一方で、休める時間があるのであれば、無理に練習を続けず身体を休ませることも重要です。

25.高齢者の運動は「無理なく続けること」を優先します

高齢の患者さんでは、若い方と同じ運動強度を求める必要はありません。

大切なのは、転倒や症状の悪化を避けながら、できる範囲で身体を動かし続けることです。

歩く、立ち上がる、日常生活の中で身体を使うといった基本的な活動を維持することが、筋力や生活能力を保つことにつながります。

運動によって強い痛みが出る場合には無理をせず、医師や理学療法士と相談しながら内容を調整します。

26.体重が増えると腰への負担も増えます

体重増加と腰への負担には関係があると考えています。

体重そのものによる物理的な負荷が大きくなるだけでなく、腹部の体重が増えることで姿勢が変化し、腰が反り気味になる方もいます。

また、体重増加は腰だけではなく、膝や股関節など体重を支える関節への負担にもなります。

患者さん自身も、「体重が軽かった頃は、今ほど腰や膝が痛くなかった」と感じていることがあります。

そのような患者さんでは、健康的な体重管理も腰痛対策の一つになります。

27.減量では「筋肉を落としすぎない」ことが重要です

体重を減らすことは大切ですが、単に体重計の数字だけを減らせばよいわけではありません。

極端な食事制限だけで急激に体重を落とすと、体脂肪だけでなく筋肉量まで減る可能性があります。

筋肉が減れば、身体を支える力が弱くなり、活動量がさらに低下することもあります。

そのため腰痛対策として体重を減らす場合には、筋肉量の低下をできるだけ防ぎながら体脂肪を減らしていくことが重要です。

適切な栄養と、痛みの程度に合わせた運動を組み合わせながら減量することが基本です。

28.痛くて運動できない方に「痩せてください」だけでは不十分です

腰痛や膝痛が強い患者さんに、「体重を減らしてください」「運動してください」と伝えるだけでは、実際には実行できないことがあります。

痛みが強ければ、歩いたり運動したりすること自体が難しいからです。

その場合には、まず痛みをコントロールし、身体を動かせる状態へ近づけることが必要です。

ごうだ整形外科では、必要に応じて医師による体重管理治療も検討しながら、筋力をできるだけ維持し、徐々に運動できる身体をつくることを目指します。

『痩せてから運動する』だけではなく、『動ける状態をつくりながら健康的に体重を調整する』という考え方が大切です。

29.高齢者の体重管理は、急いで減らさない

高齢の患者さんでは、急激な減量が体力や筋力の低下につながることがあります。

若い方と同じ方法で短期間に体重を落とすことが、必ずしも良いとは限りません。

筋力、栄養状態、持病、日常生活の活動量などを確認しながら、無理のないペースで体重を調整することが重要です。

高齢者では、体重の数字だけではなく、『歩けるか』『立ち上がれるか』『自分で生活できるか』という身体機能を守ることも同時に考える必要があります。

30.再発予防で一番大切なのは「なぜ痛くなったのか」を知ること

腰痛を繰り返さないために最も大切なのは、患者さん自身が自分の腰痛について理解することです。

まず、「なぜ今回腰が痛くなったのか」を考えます。

姿勢が原因なのか、体重増加が関係しているのか、椎間板ヘルニアなのか、脊柱管狭窄症なのか。

椎間板ヘルニアであれば、どのような動作が発症のきっかけになったのか。

脊柱管狭窄症であれば、どの姿勢で症状が強くなり、どの姿勢で楽になるのか。

病気の特徴を理解したうえで、『では、自分は何を避け、どのように身体を使えばよいのか』を考えることが再発予防につながります。

31.同じ病名でも、腰痛対策は同じとは限りません

同じ椎間板ヘルニア、同じ脊柱管狭窄症という病名でも、患者さんによって病態や症状は異なります。

痛みが出る姿勢、楽になる姿勢、病変の場所、筋力、年齢、仕事、生活環境も一人ひとり違います。

そのため、「知人はこの運動で治ったから、自分にも同じ運動が効くはず」とは限りません。

隣の患者さんと同じ病名でも、必要な生活指導や運動内容が違うことは珍しくありません。

32.腰痛の再発予防はオーダーメイドです

腰痛の再発予防には、全員に共通する一つの方法があるわけではありません。

患者さん自身が自分の病態を理解し、自分に合う姿勢、身体の使い方、運動、体重管理などを身につけることが重要です。

分からないことがあれば、自己判断だけでなく医師や理学療法士など医療者へ質問してください。

ごうだ整形外科では、患者さん一人ひとりの病態と生活背景に合わせて、『どうすれば痛みを出しにくい生活ができるか』を一緒に考えることを大切にしています。

ごうだ整形外科の診療方針|自分の腰痛を理解することが再発予防の第一歩

腰痛を予防するために、全員が同じ姿勢、同じ運動、同じ生活をすればよいわけではありません。

大切なのは、まず自分の腰痛の原因と特徴を理解することです。

どの姿勢で悪化するのか。どの動作が発症のきっかけだったのか。体重や筋力は関係しているのか。どの程度の運動なら症状が悪化しないのか。

こうしたことを一つずつ理解していくことで、自分自身に合った腰痛対策が見えてきます。

腰痛を完全に避けることだけを目標にするのではなく、痛みを出しにくい身体の使い方を身につけ、症状が出たときにも早く対処できるようになることが重要です。

L-016まとめ|腰痛を早く治し、繰り返さないために

L-016では、前編・中編・後編を通して、腰痛と日常生活について解説しました。

  • 中腰を避け、腰だけでなく膝・股関節を使って身体を動かす
  • 重い物は身体に近づけ、脚の力を使って持ち上げる
  • 掃除・草むしり・洗面・台所仕事では姿勢や道具を工夫する
  • 同じ姿勢を長時間続けず、定期的に身体を動かす
  • 運転や長時間移動では休憩を取る
  • 自分が楽な寝姿勢を見つけ、朝は急に起き上がらない
  • コルセットは年齢・病態・生活に合わせて使う
  • 痛みを我慢して高負荷の運動を続けない
  • 体重を減らす場合は筋肉量を落としすぎないようにする
  • 何よりも、自分の腰痛がなぜ起こるのかを理解する

腰痛対策で最も大切なのは、患者さん自身が自分の腰痛を理解し、自分に合った『痛みを出さない方法』を身につけることです。

腰痛の日常生活についてよくある質問

Q1.腰痛があるときは運動しない方がいいですか?

強い痛みを我慢して高負荷の運動を行うことは勧めません。一方、歩いても症状が悪化しない場合には、短時間のウォーキングなどから徐々に活動量を戻すことがあります。

Q2.腰痛には腹筋・背筋を鍛えた方がいいですか?

痛みがない時期に適切な方法で体幹筋力を維持することは有用な場合があります。ただし、椎間板ヘルニアなどで痛みがある時期に、強い腹圧のかかる高負荷トレーニングを無理に行うことは勧めません。

Q3.痛みが少し残っていてもスポーツをしていいですか?

スポーツ復帰は痛みの程度、競技内容、症状が悪化するかどうかなどを総合して判断します。全員に『痛みが完全にゼロになるまで禁止』とするわけではありませんが、痛みを我慢して無理を続けることは避けてください。

Q4.体重を減らせば腰痛は良くなりますか?

体重増加が腰への負担に関係している患者さんでは、健康的な減量によって症状が軽減する可能性があります。ただし、筋肉量まで大きく減らさないよう、栄養と運動を組み合わせることが大切です。

Q5.腰が痛くて運動できないのに、痩せるよう言われました。どうすればいいですか?

痛みが強ければ運動そのものが難しいことがあります。まず痛みをコントロールし、必要に応じて医師による体重管理治療も検討しながら、徐々に身体を動かせる状態をつくることが重要です。

Q6.高齢でも減量した方がいいですか?

必要性は患者さんごとに異なります。高齢者では急激な減量で筋力や体力を落とさないことが重要です。栄養状態や身体機能を確認しながら、無理のない範囲で行います。

Q7.同じ脊柱管狭窄症の知人と同じ運動をすればよいですか?

同じ病名でも病変部位や症状、年齢、筋力、生活環境は異なります。知人に合った方法が自分にも合うとは限らないため、自分の病態に合わせた方法を選ぶことが大切です。

Q8.腰痛を繰り返さないために一番大切なことは何ですか?

自分の腰痛がなぜ起こったのか、どの姿勢や動作で悪化するのかを理解することです。そのうえで自分に合った身体の使い方、運動、体重管理などを続けることが再発予防につながります。

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監修者プロフィール

合田 猛俊

医療法人社団GOZEN 理事長

整形外科専門医・医学博士

専門分野:疼痛治療・骨軟部腫瘍・手の外科

佐々木 拓郎

札幌北7条ごうだ整形外科 総合院長

整形外科専門医・医学博士

専門分野:股関節・膝関節を中心とした下肢疾患

清藤 直樹

岩見沢ごうだ整形外科 院長

整形外科専門医・医学博士

専門分野:人工関節・スポーツ整形・外傷

記事情報

記事番号:L-016

記事名:腰痛を早く治すために日常生活で気をつけること

掲載区分:後編/運動・体重管理・再発予防

シリーズ:ごうだ整形外科の腰痛ナビゲーション

監修:合田 猛俊/佐々木 拓郎/清藤 直樹

公開日:未定

更新日:未定