L-016 腰痛を早く治すために日常生活で気をつけること【前編】中腰・家事・重い物の持ち方|腰に負担をかけない身体の使い方

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L-016 腰痛を早く治すために日常生活で気をつけること

【前編】中腰・家事・重い物の持ち方|腰に負担をかけない身体の使い方

監修

合田 猛俊

佐々木 拓郎

清藤 直樹

腰痛になったとき、「できるだけ動かない方がいいのか」「温めた方がいいのか、冷やした方がいいのか」「家事や仕事はどこまでしていいのか」と迷う方は多いと思います。

腰痛を早く改善し、同じ痛みを繰り返さないためには、薬や治療だけでなく、日常生活で腰にどのような負担をかけているかを知ることが重要です。

ただし、腰痛の原因は一つではありません。

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、筋肉の痛み、姿勢の問題などでは、それぞれ注意すべき動作も異なります。

そのため、「腰痛なら全員これをすれば治る」という方法はありません。

まずは自分の腰痛がどのような動作で悪化するのかを知り、そのうえで身体の使い方を変えていくことが大切です。

1.腰痛を早く治す方法は、原因によって違います

一般的な腰痛では、長時間の中腰、重い物を無理に持つ、同じ姿勢を続ける、腰だけを使って身体を動かす、といった動作が痛みを悪化させる原因になることがあります。

一方、椎間板ヘルニアでは前かがみで症状が強くなる方がいます。脊柱管狭窄症では、逆に腰を反らしたときに痛みやしびれが強くなる方がいます。

つまり、重要なのは単に「腰を動かさない」ことではありません。

自分の腰痛がどの動きで悪化するのかを理解し、その動作をできるだけ減らすことが大切です。

2.低い場所の作業では「中腰」をできるだけ避ける

腰への負担が大きくなりやすい代表的な姿勢が中腰です。

床にある物を取ったり、低い場所で作業したりするときに、膝を伸ばしたまま腰から上半身を前へ倒す姿勢になっていないでしょうか。

この姿勢では、腰や背中の筋肉に大きな負担がかかります。

そのため、低い位置で作業するときには、膝を曲げる、股関節を曲げる、上半身だけを前へ倒しすぎない、身体全体を下へ沈める、という動きに変えていきます。

「腰を曲げて下へ行く」のではなく、「膝と股関節を使って身体全体を下げる」というイメージです。

3.重い物は「腰」ではなく「脚」で持ち上げる

重い荷物を持ち上げるときも同じです。

腰痛を起こしやすいのは、膝を伸ばした中腰の状態から、腰の力だけで荷物を持ち上げる動作です。

物を持ち上げるときには、次の流れを意識します。

  • 荷物の近くまで身体を寄せる
  • 膝と股関節を曲げて身体を低くする
  • 荷物をできるだけ身体に近づける
  • 腰だけで引き上げず、脚の力を使って立ち上がる

特に椎間板ヘルニアを経験した方では、「中腰で重い物を持ち上げる」という動作が再発のきっかけになることがあります。

一度腰を痛めた方は、どの動作が発症の原因になったのかを振り返ることも大切です。

4.掃除機をかけるときも中腰になりすぎない

毎日の家事の中で、腰に負担がかかりやすいものの一つが掃除です。

掃除機を使うとき、ノズルや柄が身体の高さに合っていないと、知らないうちに長時間の中腰になります。

腰痛がある方では、掃除機の柄をできるだけ長く調節する、身体から離れた場所を腰だけで無理に掃除しない、腰を固定したまま腕だけで大きく動かさない、身体ごと少しずつ移動する、といった工夫をしてください。

大切なのは、「掃除している間ずっと腰を曲げたままにしないこと」です。

家事の道具についても、「自分の身体に合わせて使う」という視点が必要です。

5.草むしりは「立ったまま中腰」で長時間行わない

北海道では、夏になると草むしりをする機会が多くなります。草むしりも腰痛のきっかけになりやすい作業です。

特に勧めにくいのが、立った状態から腰を曲げ、中腰のまま長時間作業を続けることです。

腰への負担を減らすためには、深くしゃがんで作業する方法があります。しかし、高齢の方では、今度は膝への負担が大きくなることがあります。

そこで当院では、お風呂用の椅子のような低い椅子を使い、座りながら草むしりをする方法も勧めています。

また、一度に長時間やらない、途中で立ち上がる、休みながら行うことも重要です。

「腰を守るために、今度は膝を痛めてしまう」。それでは意味がありません。身体の一部分だけではなく、腰・膝・股関節を含めて無理のない姿勢を考える必要があります。

6.洗面は「座って行う」という方法もあります

朝の洗顔や歯磨きも、腰痛がある方には負担になることがあります。

洗面台を使うと、どうしても身体を前へ倒す姿勢になります。特に朝起きた直後は腰が動きにくく、前かがみがつらい方もいます。

そのような場合には、椅子に座りながら洗顔や歯磨きをすることも一つの方法です。

毎日の生活動作なので、「これくらい我慢しよう」と無理を続けるのではなく、痛みが強い時期には姿勢を変える工夫をしてみてください。

7.台所仕事では「自分の高さ」を調整する

台所仕事でも、長時間同じ姿勢を続けることがあります。問題になるのが、作業台の高さと自分の身長が合っていない場合です。

キッチンの高さは簡単には変えられません。そのため、ごうだ整形外科では、設備を身体に合わせられないのであれば、身体側を工夫する、という考え方をします。

例えば作業台が高く、腰を反らした姿勢になってしまう場合には、転倒しにくい安定した室内履きなどで立つ高さを少し調整すると、姿勢が楽になることがあります。

逆に、作業台が低く、強い前かがみが続く場合には、椅子を使う、作業を分ける、一度に長時間続けない、といった工夫が必要です。

特に腰を反らすと症状が出やすい方や、前かがみで症状が出やすい方では、患者さんごとに適した高さや姿勢が異なります。

8.腰痛は「冷やす」「温める」どちらがいい?

腰痛の患者さんから非常によく聞かれる質問です。

急に腰が痛くなって薬局へ行くと、「急性期なので冷やしてください」と言われることがあります。

しかし、急性腰痛だから必ず冷やした方がよいというわけではありません。

ごうだ整形外科では、一般的な腰痛では、温めることで楽になる患者さんが多いと考えています。

温めることで、血流が改善する、筋肉のこわばりが和らぐ、身体を動かしやすくなる、ことが期待できます。

そのため、ホットパック、温かい入浴、身体を冷やさない、といった方法が合う方も多くいます。

冷やした方がよい場合もあります

  • 明らかにぶつけた直後
  • 患部に強い熱感がある
  • 腫れがある
  • 急性の炎症が強い

といった場合には、冷やすことで症状が楽になることがあります。

つまり、「腰痛=冷やす」「腰痛=温める」と一律に決めるものではありません。自分の腰痛の状態に合わせて選ぶことが大切です。

また、冷やしすぎると筋肉がこわばったり、血流が悪くなったりすることがあるため、長時間冷却を続けることは勧めません。

前編まとめ|「腰を使わない」ではなく「腰だけに負担を集中させない」

腰痛があるからといって、すべての動作をやめる必要はありません。

重要なのは、腰だけに負担が集中する身体の使い方を減らすことです。

低い場所の作業では膝と股関節を使う。重い物は脚の力で持ち上げる。掃除や草むしりでは長時間の中腰を避ける。洗面や台所仕事では、椅子や道具を使って姿勢を工夫する。そして腰痛を温めるか冷やすかも、症状によって変わります。

腰痛を早く改善するためには、「痛いから何もしない」のではなく、「どう動けば腰に負担をかけにくいか」を覚えることが重要です。

中編へ続く

【L-016 中編】同じ姿勢を続けない|デスクワーク・運転・睡眠・コルセット

中編では、座っているのに腰が痛くなる理由、50分〜1時間で姿勢を変える考え方、デスクワークでの腰痛対策、長距離運転ではなぜ休憩が必要なのか、飛行機での腰痛対策、腰痛のときの寝姿勢、横向きと仰向けの違い、寝具、朝起きるときの注意点、コルセットの使い方について詳しく解説します。

監修者プロフィール

合田 猛俊

医療法人社団GOZEN 理事長/整形外科専門医/医学博士

佐々木 拓郎

北7条ごうだ整形外科 院長/産業医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター

清藤 直樹

岩見沢ごうだ整形外科 院長

記事情報

記事番号:L-016

記事名:腰痛を早く治すために日常生活で気をつけること

掲載区分:前編/日常動作・家事・温熱・冷却

シリーズ:ごうだ整形外科の腰痛ナビゲーション

監修:合田 猛俊/佐々木 拓郎/清藤 直樹

公開日:未定

更新日:未定