財界さっぽろ連載記事第2回

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整形外科と新型コロナの世界

第2回

「整形外科の院内感染対策」

 整形外科の保存的治療の代表としてリハビリテーションがあります。アスリートに限らず、年配の人も筋力を維持することは健康な生活を送るうえで大切です。しかし、新型コロナウイルスの影響でリハビリテーションを受診する患者が激減しました。リハビリ室で理学療法士と密接しておこなう運動療法は確かに感染が怖い状況といえます。

 最近の知見で新型コロナウイルスの感染伝播経路もかなり判明してきました。当初恐れられていた空気感染は決して多くないことがわかってきました。

 主な感染経路は保菌者からの飛沫が物に付着し、ウイルスが付着した物を介して第三者に感染するようです。その感染を防ぐためには唾液などの飛沫の予防としてのマスクが有効です。当院ではリハビリ利用者にマスクを提供しました。理学療法士はマスクと手袋を装着し、リハビリ終了後に施術台を次亜塩素酸で拭き取ります。職員の徹底した消毒と、患者・施術者双方がお互いに感染予防に努めることが大切と考えています。

 病院によっては発熱者の受診を断るところもありますが、痛みのある患者を拒絶せず、万が一保菌者でも予防策を徹底することで治療は可能です。今のところ当院では院内を拠点とする感染は起きていませんが、今後も予防策を継続する方針です。

 院内施設の清拭はその部署のみではなく医師、看護師はもちろん事務職員も総出でおこなうことが必要です。日本の医療体制を維持し守るためには、医療者と患者双方の意思と努力によって院内感染を起こさず、治療を継続することが必要です。

 新型コロナウイルスは体だけではなく、多くの人の心も傷つけました。経済的ダメージも甚大なものがあります。子どもたちは学校、部活が始まり喜んでいる傍ら、長期自粛による精神的ダメージが出てきています。われわれ大人が傷つけ合うのではなく、いたわり合う社会をつくらなくてはなりません。