財界さっぽろ連載記事第6回

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整形外科と新型コロナの世界

市中感染拡散の予防

連載の最後にあたり総括をしたいと思います。今回のコロナウイルスのパンデミックは世界中に想像できないほどの影響を与えました。ウイルスの性質にも未だ不明な点が多くあります。感染経路は飛沫か空気かも未だ結論がでていません。東アジアでは死亡率が低く、欧米では高い理由も不明です。しかし予防方法はある程度分かってきています。飛沫により付着したウイルスが手指を介して体内に侵入することを避けることが重要です。手洗い、うがい、目や鼻を触らない(粘膜を介しての感染)。尿や便にもウイルスが確認されています。小便器は使わず洋式トイレを使用し蓋をしめて流す、そしてトイレを出てから手指の消毒を行うことが必要です。マスクは感染者の飛沫予防の有効性が期待できます。しかし現在のようにすべての場面で使用が必要かは検証が必要です。あわせて社会的距離の確保。難しいことではないと思います。多くの施設では消毒液が置かれています。入るときの使用は店に広げないため、出るときの使用は自分への感染を避けるためです。出るときにも使用しましょう。

先の見えない中で発熱しても病院にかかれないなどあってはならない状況が発生しました。受診控えにより病院の経営状況は悪化しました。しかしこの期間の総死者数は前年同期を下回っており、普段は過剰な医療を受けていたのではないかとう意見も散見されます。検診も滞り、結果として悪性腫瘍の発見が遅れてしまう。病院側も受診を制限する病院と、何らかの対策をとり受診を止めない病院に分かれました。いろいろな立場による意見の相違がありますが、日本の感染数、死者数が少ない理由の一つは日本の医療制度が正しく機能している証と言えます。まだまだ予断のできない状況ですが、批判ではなく証拠に基づいた議論や、全国民による意識の統一、何より必要なことは他者を思いやる心であると確信しています。