整形外科の保存的治療 第5回
整形外科には腰痛や頸部痛、神経痛で受診される患者様の比率も多いです。今回は腰痛について述べてみたいと思います。原因は変形や椎間板ヘルニア、狭窄症など多岐にわたります。しかしその診断名は主にレントゲン像の変化に対する病名であり、腰痛の原因疾患の7割以上は不明と言われており、複合的な要因があると考えられています。整形外科では鎮痛剤の使用や湿布、リハビリなどが主に行われています。神経の麻痺があったり、耐えがたい痛みがあるときには手術が行われることもあります。術後症状が軽快することが殆どですが、中には症状が取れない患者がいることも事実です。MRIなどの画像検査で神経圧迫病変がなくなっているにもかかわらず症状が取れない場合には治療が困難となることがあります。神経の症状は一概に物理的なものではなく、切断肢の幻肢痛などのように神経自体の異常発火などが原因となるものもあります。手術後の残存する痛みは精神的なものとして扱われる傾向があり、その為向精神薬の投与が行われていることが現状です。使い方により著効することもありますが、副作用により日常生活に支障をきたすこともあり難しい問題となっています。当院ではそのような物理的原因が除去されたにもかかわらず残存する難治性の神経痛に対しては神経ブロックで良好な結果を得ています。麻酔薬による神経伝道の遮断、抗炎症薬による神経浮腫の改善、神経リリース効果が期待できます。また、前回記載した再生医療も損傷神経の回復が期待できる新しい治療法として期待されています。整形外科にかかららず医学は進歩しています。10年間持続した症状が一回の神経ブロック治療で軽快した方もいます。あきらめずに治療することが必要です。