K-005 整形外科医は膝痛をどう診断する?【後編】レントゲン・MRIと診察をどう組み合わせて原因を決める?

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K-005 整形外科医は膝痛をどう診断する?

【後編】レントゲン・MRIと診察をどう組み合わせて原因を決める?

監修

合田 猛俊

佐々木 拓郎

清藤 直樹

前編では、歩き方、問診、視診、触診、可動域、圧痛、徒手検査まで解説しました。

ごうだ整形外科では、その診察を行ってから初めて患者さんと一緒にレントゲンを確認します。

画像だけを先に見て「ここが変形しているから、これが痛みの原因だろう」と決めてしまうのではなく、診察で考えた病態と画像所見が一致するかを確認していきます。

14.レントゲンを先に見て診断を決めません

膝痛の患者さんでは、診察前にすでにレントゲン撮影が終わっている場合があります。

それでも、医師はまず患者さんを診察します。

そして、痛む場所、圧痛、可動域、不安定性、徒手検査を確認してから、患者さんと一緒に画像を見ます。

画像は非常に重要ですが、診察の代わりではありません。

15.レントゲンでは変形性膝関節症をどう見る?

レントゲンでは、関節裂隙の狭小化、骨棘、骨の硬化などの変化、内反・外反などのアライメントを確認します。

特に変形性膝関節症では、「内側に荷重が偏っていないか」「膝全体の配列はどうなっているか」という点も重要です。

なお、レントゲンでは関節軟骨そのものが直接見えるわけではありません。

軟骨が薄くなることで骨と骨の間の関節裂隙が狭く見えるため、そこから軟骨の変性を推測します。

16.診察所見とレントゲンを照らし合わせます

例えば、診察では内側関節裂隙に強い圧痛がある。

レントゲンでも内側関節裂隙が狭く、内反変形がある。

このように診察と画像が一致すれば、内側型変形性膝関節症が痛みに関与している可能性が高くなります。

一方で、「レントゲンの変化だけでは症状を十分説明できない」場合には、さらに別の原因を考えます。

17.膝痛では原因が一つとは限りません

膝の特徴として、複数の病態が同時に存在することがあります。

例えば、内側型変形性膝関節症、内側半月板の変性・損傷、内側関節軟骨の損傷、内反変形が同時に存在することがあります。

変形が進むことで内側へ荷重が集中すれば、内側がさらに狭くなり、反対に外側には緩みが出てくることもあります。

そのため、「あなたの膝痛の原因は、この一つだけです」と言い切れない患者さんもいます。

診断とは、病名を一つ当てることではなく、複数ある所見の中から何が今の症状に関係しているかを考える作業でもあります。

18.半月板損傷が疑わしい場合

触診やMcMurrayテスト、外傷歴などから半月板損傷が疑われても、レントゲンでは半月板そのものを見ることはできません。

このような場合にはMRIを検討します。

MRIでは、半月板、靱帯、軟骨、骨髄・軟骨下骨など、単純レントゲンでは十分評価できない組織を確認できます。

19.MRIはすべての膝痛に必要なわけではありません

MRIは非常に有用な検査ですが、膝が痛い患者さん全員に必要なわけではありません。

問診・診察・レントゲンで原因が十分説明できる場合には、MRIを行わず治療を開始できることもあります。

一方、半月板損傷が疑われる、靱帯損傷が疑われる、軟骨病変を確認したい、軟骨下骨の病変を疑う、レントゲンで原因を説明できない、症状とレントゲン所見が合わない場合にはMRIを検討します。

20.若い人で画像に大きな異常がないのに痛い場合

高齢者では変形性膝関節症など画像に現れる病態が多くなります。

一方、若い方、特にスポーツをしている方では、「レントゲンでは大きな異常がないのに、運動すると膝が痛い」ということがあります。

このような場合には、オーバーユース、膝蓋大腿関節への反復負荷、軟骨障害、腱や周囲組織の障害なども考えます。

21.コンドロマレーシアとは?

若いスポーツ選手などの前方膝痛で考える病態の一つに、コンドロマレーシア(chondromalacia patellae/膝蓋軟骨軟化症)があります。

これは、膝蓋骨の裏側にある関節軟骨に軟化、亀裂、変性などが生じる病態です。

反復する膝蓋大腿関節への負荷や、膝蓋骨のトラッキング異常などが関係することがあります。

症状として、階段、しゃがみ込み、ランニング、長時間の座位などで前方膝痛を訴えることがあります。

22.コンドロマレーシアと「膝蓋大腿関節痛」は同じではありません

ここは医学的に注意が必要です。

以前は前方膝痛を広く「コンドロマレーシア」と呼ぶこともありました。

しかし現在では、膝蓋大腿関節痛と、実際に軟骨に形態的な障害があるコンドロマレーシアは完全に同じ意味ではありません。

膝蓋大腿関節痛があっても、必ず軟骨障害があるとは限りません。

逆に、MRIなどで軟骨変化があっても、それだけが痛みの原因とは限りません。

23.若いスポーツ選手では「使いすぎ」も診断の重要な情報

若い方では、「MRIで何が写っているか」だけではなく、どのスポーツをしているか、練習量が増えていないか、同じ動作を何度も繰り返していないか、休むと改善するか、どの動作だけで痛むかという情報が非常に重要です。

明らかな大きな損傷がなくても、反復する負荷によって膝蓋大腿関節や軟骨周囲に症状が出ることがあります。

24.MRIに異常があれば、それが必ず痛みの原因?

MRIは詳細な画像を得られますが、MRIに何か写っているからといって、それが必ず痛みの原因とは限りません。

年齢とともに半月板などに変性所見がみられることもあります。

したがってMRIも、「診察で疑った病態が画像にも確認できるか」という視点で評価することが重要です。

画像だけを患者さんから切り離して診断するのではありません。

25.膝の診断は「病名を一つ当てること」ではありません

膝痛では、「半月板です」「変形性膝関節症です」と一つの名前で説明できる患者さんもいます。

しかし、変形性膝関節症があり、半月板変性もあり、軟骨障害もあり、アライメントにも問題があるという患者さんもいます。

その中から、今の痛みには何が大きく関与しているのかを考えることが診断です。

K-005まとめ|診断は「患者さんを見ること」と「画像を見ること」の両方

ごうだ整形外科での膝痛診察は、看護師の問診、歩き方を見る、患者さん自身に痛む場所を示してもらう、視診、膝蓋骨周囲の触診、可動域、圧痛、不安定性、McMurrayなどの徒手検査、レントゲンと照合、必要に応じてMRI、という流れで進みます。

画像は重要です。しかし、画像だけでも診断できません。身体診察だけでも分からないことがあります。

患者さんの症状・診察所見・画像を一つにつなげて考えることが、膝痛診断で最も大切です。

膝痛の診断についてよくある質問

Q1.膝痛はレントゲンだけで診断できますか?

変形や骨折などは分かりますが、半月板や靱帯などレントゲンでは十分に見えない組織もあります。

Q2.MRIを最初から撮った方が確実では?

必ずしもそうではありません。まず問診・診察・レントゲンで原因を絞り、必要性がある場合にMRIを行います。

Q3.McMurrayテストが陽性なら半月板損傷ですか?

疑う材料にはなりますが、それだけで確定するものではありません。症状、圧痛、外傷歴、画像などを合わせて判断します。

Q4.膝がグラグラする場合は何を調べますか?

内外反ストレステスト、前後方引き出し、Lachmanテストなどで側副靱帯や十字靱帯を評価します。

Q5.レントゲンで変形があれば、それが痛みの原因ですか?

診察所見と一致するかを確認します。複数の病態が重なって痛んでいる場合もあります。

Q6.若い人でも膝の軟骨が傷むことがありますか?

あります。スポーツや反復負荷などによって、膝蓋軟骨を含む軟骨病変が生じることがあります。

Q7.コンドロマレーシアとは何ですか?

主に膝蓋骨裏面の関節軟骨に軟化・亀裂・変性などが起こった状態を指します。ただし、前方膝痛すべてがコンドロマレーシアではありません。

Q8.画像で原因が分からない膝痛もありますか?

あります。特に若いスポーツ選手などでは、明確な大きな画像異常がなくてもオーバーユースなどが痛みに関係している場合があります。

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医学的確認について

本記事は、合田医師の一般整形外科診療における実際の膝診察手順と臨床経験を一次情報として構成しています。膝専門医としての専門的見解を示すものではありません。

医学的確認では、膝診察は問診・視診・触診・可動域・特殊検査を系統的に行うこと、外反ストレスはMCL、内反ストレスはLCLを評価すること、Lachman・前方引き出しはACL、後方引き出しはPCLの評価に用いること、McMurrayテスト単独で半月板損傷を確定しないこと、MRIは半月板・靱帯・軟骨・軟骨下骨などの評価に有用であること、コンドロマレーシアは膝蓋軟骨の形態的病変を指し膝蓋大腿関節痛と完全な同義語ではないことを標準的な医学知見と照合しています。

監修者プロフィール

合田 猛俊

医療法人社団GOZEN 理事長/整形外科専門医/医学博士

佐々木 拓郎

北7条ごうだ整形外科 院長/産業医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター

清藤 直樹

岩見沢ごうだ整形外科 院長/整形外科専門医/医学博士/日本人工関節学会認定医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター

記事情報

記事番号:K-005

記事名:整形外科医は膝痛をどう診断する?|問診・視診・触診・徒手検査

掲載区分:後編/レントゲン・MRI・複合病態・若年者の膝痛・コンドロマレーシア

シリーズ:ごうだ整形外科の膝痛ナビゲーション

監修:合田 猛俊/佐々木 拓郎/清藤 直樹

公開日:未定

更新日:未定