K-004 この膝痛は受診すべき?|様子を見てもよい痛み・早めに受診したい痛み
【前編】すぐに受診した方がよい膝痛|歩けない・急に腫れた・熱を持つ
監修
合田 猛俊
佐々木 拓郎
清藤 直樹
「膝が痛いけれど、病院へ行くほどなのだろうか」
「数日様子を見ても大丈夫だろうか」
膝痛では、この判断に迷う患者さんが少なくありません。
すべての膝痛で、その日のうちに整形外科を受診する必要があるわけではありません。
一方で、様子を見ずに早く評価した方がよい膝痛もあります。
ごうだ整形外科では、単純に「何日痛かったら受診」という考え方ではなく、歩けるか、急に起きたか、強い外傷があったか、急速に腫れていないか、熱や発赤がないか、症状が悪化していないかなどから受診の緊急度を考えます。
1.最も重要なのは「足をついて歩けるか」
膝痛の受診判断で、まず重要なのが「その足に体重をかけて歩けるか」です。
痛みが強く、足をつくことができない、数歩も歩けない、膝が支えられないという状態は、通常の慢性的な膝痛とは違います。
骨折、脱臼、重い靱帯損傷、骨軟骨損傷などを含め、早めに評価する必要があります。
急性膝外傷では、4歩の荷重歩行ができないことは、レントゲン撮影を検討する際の一つの基準として用いられています。
「歩けないほど痛い膝」は、自宅で何日も様子を見る状態ではありません。
2.大きな外傷のあとに痛い
次に重要なのが、外傷の大きさです。
スポーツ中に強くひねった、相手と激しく接触した、高いところから転倒した、交通事故に遭った、膝を強く打ったなど、明らかに大きな力が加わったあとに強い膝痛が出た場合には、外見だけでは分からない骨折や靱帯損傷が隠れていることがあります。
痛くても何とか歩けるからといって、必ずしも軽い怪我とは限りません。
3.外傷後に短時間で膝が大きく腫れた
転倒やスポーツのあと、数時間以内に膝がパンパンに腫れてきた場合には、関節内出血を考えます。
代表的には、前十字靱帯損傷、膝蓋骨脱臼、関節内骨折、骨軟骨損傷などがあります。
急性外傷後の速い関節水腫は、関節内損傷を疑う重要な情報です。
特に、強い外傷+急速な腫れ+歩けない、という組み合わせでは、できるだけ早い受診を勧めます。
4.赤く腫れて、触ると熱い
外傷がないのに、膝が赤い、明らかに熱を持っている、強く腫れている、強い痛みがあるという場合にも、早めの受診が必要です。
偽痛風などの結晶性関節炎でも、このような症状は出ます。
しかし、最も注意しなければならないのが感染性関節炎(化膿性関節炎)です。
感染性関節炎は、細菌などが関節内に入り強い炎症を起こす病気で、診断や治療が遅れると関節を傷めたり、重症では敗血症につながったりすることがあります。
感染性関節炎が疑われる場合には、できるだけ早く関節液を採取して評価します。
5.膝痛と一緒に発熱している
膝が痛いだけでなく、全身の発熱がある場合も注意が必要です。
感染性関節炎、偽痛風などの急性結晶性関節炎、全身性の炎症性疾患などを考えます。
特に、膝が赤い・熱い・強く腫れている+発熱という状態は、単なる変形性膝関節症として自宅で様子を見るべき症状ではありません。
6.膝がほとんど曲がらない・伸びない
痛みが強く、「曲げられない」「伸ばせない」という場合にも早めの診察を勧めます。
原因として、大きな関節水腫、関節血症、骨折、半月板などのロッキング、強い炎症などがあります。
急性外傷では、90度まで膝を曲げられないことも骨折評価の参考になる所見の一つです。
7.完全にロックして動かない
膝が突然、「ある角度から動かなくなった」「何かが挟まったように伸びない」という場合には、機械的ロッキングを考えます。
代表的な原因の一つが半月板損傷です。
痛みのために動かせない場合との区別は必要ですが、本当に何かが挟まって膝が動かない状態は早めの整形外科受診が必要です。
8.夜、痛くて眠れない
夜間痛だけで重大な病気と決まるわけではありません。進行した変形性膝関節症でも夜間痛が出ることがあります。
ただし、急に始まった、日ごとに強くなっている、安静にしていても強く痛い、夜も眠れない、腫れや発熱を伴うという場合には、軟骨下脆弱性骨折、強い炎症、骨壊死、感染、腫瘍性病変なども含めて原因を調べる必要があります。
9.診療時間外に大きな怪我をしたら?
学生スポーツなどでは、夕方や夜間に怪我をすることがあります。その時点ですでに整形外科の通常診療が終わっていることもあります。
足をついて歩けない、激しく腫れてきた、強い外傷があった、変形している、強い痛みが続くという状態であれば、救急医療機関の受診を考えます。
救急では、まず骨折や脱臼など緊急性の高い病態を確認し、必要に応じて固定、鎮痛などの応急処置を受けます。
そのうえで、翌日以降できるだけ早く整形外科で詳しい評価を受けることが重要です。
10.救急病院と整形外科の役割は違います
救急医療では、まず「今すぐ対応しなければならない病気や怪我がないか」を確認することが中心になります。
一方、半月板、靱帯、軟骨などの詳しい評価にはMRIなどが必要になることがあります。
救急医療機関では、診療体制や時間帯によってMRIまでその場で行えないこともあります。
その場合でも、応急処置を受けたあと、改めて整形外科で原因を詳しく調べることが大切です。
前編まとめ|「歩けない膝」は様子を見ない
- 足をついて歩けない
- 大きな外傷を受けた
- 急速に大きく腫れた
- 赤く熱を持っている
- 発熱を伴う
- 強い痛みで曲げ伸ばしできない
- 完全にロックして動かない
- 夜間痛が強く眠れない
- 日ごとに急速に悪化している
中でも「足をついて歩けない」という症状は、受診を先延ばしにしない重要なサインです。
医学的確認について
本記事は、合田医師の一般整形外科診療における臨床経験と受診判断を一次情報として構成しています。膝専門医としての専門的見解を示すものではありません。急性膝外傷における歩行不能・著明な腫脹・可動域制限、発熱・発赤を伴う関節炎などについて、標準的な整形外科・救急医学の知見と照合して患者さん向けに編集しています。
監修者プロフィール
合田 猛俊
医療法人社団GOZEN 理事長/整形外科専門医/医学博士
佐々木 拓郎
北7条ごうだ整形外科 院長/産業医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター
清藤 直樹
岩見沢ごうだ整形外科 院長/整形外科専門医/医学博士/日本人工関節学会認定医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター
記事情報
記事番号:K-004
記事名:この膝痛は受診すべき?|様子を見てもよい痛み・早めに受診したい痛み
掲載区分:前編/早急な受診を考える膝痛
シリーズ:ごうだ整形外科の膝痛ナビゲーション
監修:合田 猛俊/佐々木 拓郎/清藤 直樹
公開日:未定
更新日:未定
