L-008 腰椎圧迫骨折とは?前編

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腰椎圧迫骨折とは?
転んだだけなのに背中や腰が痛い…それは「圧迫骨折」かもしれません

監修 合田猛俊 佐々木拓郎 清藤直樹

結論

腰椎圧迫骨折は、背骨を構成する「椎体」が押しつぶされるように骨折する病気です。

特に骨粗鬆症によって骨が弱くなっている方では、少し尻もちをついた、重い物を持った、身体をひねった、くしゃみをした、といった日常生活のわずかな力でも骨折することがあります。明らかな転倒や外傷がなく、「いつ骨折したのか分からない」という場合もあります。

突然、腰や背中が痛くなった、寝返りや起き上がりで強く痛む、以前より身長が低くなった、背中が丸くなってきた――このような症状がある場合には、圧迫骨折が隠れている可能性があります。

また、発症直後の圧迫骨折はレントゲンだけでは分かりにくいことがあります。症状や診察所見から圧迫骨折が疑われる場合には、必要に応じてMRIなどで詳しく調べることが重要です。

そして、圧迫骨折の治療は「今ある骨折を治す」だけでは十分ではありません。

骨折の診断 → 痛みの治療 → 身体機能の回復 → 骨粗鬆症の評価・治療 → 次の骨折の予防

まで考えることが重要です。

腰椎圧迫骨折とは?

腰椎圧迫骨折とは、背骨を構成する骨である「椎体」が、上下方向から力を受けて押しつぶされるように骨折する状態です。

「椎体骨折」と呼ばれることもあります。

背骨は、首から腰まで複数の椎骨が積み重なってできています。そのうち腰の部分にある5つの椎骨を「腰椎」と呼びます。

健康な椎体には十分な強度がありますが、骨粗鬆症などによって骨が弱くなると、小さな力でも椎体が潰れるように骨折することがあります。

特に胸椎から腰椎へ移行する「胸腰移行部」は、圧迫骨折が起こりやすい部位の一つです。

腰椎圧迫骨折の原因

高齢者の圧迫骨折で重要な原因が骨粗鬆症です。

骨粗鬆症では骨の強度が低下するため、健康な骨なら問題にならない程度の力でも骨折することがあります。

例えば、

などがきっかけになることがあります。

一方、若い方でも交通事故、高所からの転落、スポーツ外傷など、背骨へ大きな力が加わることで圧迫骨折を起こすことがあります。

骨粗鬆症との関係

圧迫骨折を考えるうえで、骨粗鬆症は非常に重要です。

骨粗鬆症は、骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気です。

初期には自覚症状がほとんどないため、「圧迫骨折を起こして初めて骨粗鬆症が分かった」ということも珍しくありません。

さらに、一度骨粗鬆症による骨折を起こした方では、その後に別の骨折を起こす危険性も高くなります。

そのため、圧迫骨折が見つかった場合には、骨折した部分だけを見るのではなく、その背景に骨粗鬆症がないかを調べることが重要です。

腰椎圧迫骨折の症状

症状には個人差があります。

代表的なのは、突然生じる腰や背中の痛みです。

寝返りや起き上がりで痛い

圧迫骨折では、身体を動かしたときに強い痛みが出ることがあります。

特に、

などで痛みが強くなることがあります。

安静にしていると比較的痛みが軽く、動いた瞬間に強く痛む場合もあります。

腰だけでなく背中が痛む

骨折する場所によっては、腰よりも背中の痛みとして感じることがあります。

「腰痛ではないから腰椎の病気ではない」とは限りません。

身長が低くなる

椎体が潰れると、その分だけ背骨全体の高さが低くなります。

複数の椎体で圧迫骨折を繰り返すと、以前より身長が低くなることがあります。

背中が丸くなる

複数の椎体が潰れると、背中が前方へ曲がる「円背」が進行することがあります。

円背が進行すると姿勢が変化するだけではなく、歩行やバランスにも影響することがあります。

圧迫骨折を放置するとどうなる?

「少し腰が痛いだけだから」「年齢のせいだろう」と考えて、そのままにしてしまう方もいます。

しかし、圧迫骨折を放置すると、

可能性があります。

特に重要なのは、「最初の骨折を次の骨折につなげないこと」です。

腰椎圧迫骨折の診断

腰椎圧迫骨折では、画像を見るだけではなく、痛みの場所や発症した状況を詳しく確認します。

特に高齢者では、明らかな転倒がなくても圧迫骨折を起こしていることがあります。

そのため、

などを確認します。

レントゲン検査

レントゲンでは、椎体の高さや形、変形の程度などを確認します。

圧迫骨折によって椎体が潰れている場合には、その変形を確認できることがあります。

ただし、発症直後では椎体の変形がまだ明らかでなく、レントゲンだけでは骨折を判断しにくいことがあります。

そのため、レントゲンで大きな異常がなくても、症状や診察所見から圧迫骨折が疑われる場合には追加検査を検討します。

MRI検査

MRIは、新しい圧迫骨折か、以前から存在していた古い圧迫骨折かを判断するうえで重要な検査です。

高齢になると、過去の圧迫骨折によって複数の椎体が変形していることがあります。

その場合、レントゲンで椎体の変形が見つかっても、「今回の痛みの原因が本当にその椎体なのか」を判断することが難しい場合があります。

MRIでは骨折した椎体内部の変化を確認できるため、現在の症状と関係する骨折を評価するために有用です。

また、下肢のしびれや筋力低下などの神経症状がある場合には、神経への影響についても確認します。

レントゲンとMRIにはそれぞれ特徴があるため、患者さんの症状や骨折の状態に応じて必要な検査を選択します。

【後半へ続く】