
監修:合田 猛俊/佐々木 拓郎/清藤 直樹
「1か月で3kg痩せました」——体重管理をしている患者さんにとって、体重が減ることはうれしい変化です。しかし、ごうだ整形外科では「3kg痩せました」という数字だけを見て「順調ですね」とは判断しません。
同じ3kgの減量でも、脂肪が3kg減ったのか、筋肉が3kg減ったのかによって、身体の状態はまったく違うからです。当院では必要に応じてInBodyを使用し、筋肉量、体脂肪量、体水分量などを客観的な数値で確認します。
目指しているのは「体重を軽くすること」ではなく「脂肪を減らして、筋肉をできるだけ守ること」です。
結論|体重が減っただけでは、良いダイエットとは限りません
例えば、3人の患者さんが全員3kg痩せたとします。
| 体重 | 体脂肪量 | 筋肉量 | 当院での評価 | |
|---|---|---|---|---|
| Aさん | −3kg | −3kg | ほぼ維持 | 良い経過 |
| Bさん | −3kg | −3.5kg | +0.5kg | 非常に良い経過 |
| Cさん | −3kg | ほぼ変化なし | −3kg | 注意が必要 |
体重計だけを見れば3人とも「3kgのダイエットに成功した」ように見えます。しかし身体の中で起きていることはまったく違います。Bさんは体脂肪が3.5kg減り、筋肉量が500g増えています。体重としては3kg減でも、当院では非常に良い変化と考えます。
一方Cさんは、体重は3kg減っていますが脂肪はほとんど減らず、筋肉が3kg減っています。この場合「3kg痩せたから、もっと同じ方法で続けましょう」とは考えません。なぜ筋肉が減っているのかを確認します。
体重計では「何が減ったか」までは分からない
一般的な体重計で分かるのは身体全体の重さです。しかし脂肪、筋肉、水分のどれが変化したのかまでは、体重の数字だけでは判断できません。だから当院では「何kg痩せたか」ではなく「何が何kg減ったのか」を大切にしています。
InBodyでは筋肉と脂肪を数値で確認します
ごうだ整形外科では、院内で体重管理を行っている患者さんについて必要に応じてInBodyを使用します。筋肉量、体脂肪量、体水分量などを数値として確認し、一度測って終わりではなく前回からどう変化したのかを見ます。
体重があまり減っていなくても、治療が成功していることがあります
一生懸命運動している患者さんでは、脂肪が減る一方で筋肉が維持または増加することで、体重計の数字が思ったほど減らないことがあります。この場合、当院では「体重が落ちていないから治療が効いていない」とは判断しません。
反対に、体重が急激に減っている人ほど注意することがあります
1か月で5~6kgなど急激に体重が減っている患者さんでは、「何が減ったのだろう?」と身体組成を確認します。食事を極端に減らすことで、脂肪だけでなく筋肉も落ちている場合があるからです。
特に女性では「頑張りすぎ」に注意します
当院の診療経験では、体重を減らしたいという思いが強く、食事を減らしすぎてしまう患者さんがいます。特に女性では、薬によって食欲が低下しているところへさらに食事を強く制限し、断食に近い状態になるケースもあります。必要な栄養まで不足すれば、筋肉量の減少や体調不良につながる可能性があり、急激な減量や栄養不足は脱毛の一因となる可能性もあります。
筋肉が減っていたら、まず患者さんと数字を一緒に見ます
InBodyで筋肉量が大きく減っていても、当院ではいきなり「運動が足りません。もっと運動してください」とは言いません。まず実際の数字を患者さんと一緒に確認し、「体重は減っていますが、その中身を見ると筋肉がかなり減っています」と具体的に説明します。
筋肉が減ると、なぜリバウンドしやすくなる?
筋肉量が減少すると基礎代謝量の低下につながります。体重は減っても筋肉も大きく減った状態で、治療終了後に以前と同じ食生活へ戻れば、体重管理が難しくなる可能性があります。だからこそ、痩せている最中から治療終了後の身体を考えます。
「もっと運動してください」では続かない
筋肉が減っている原因が運動不足でも、膝が痛い、腰が痛い、身体が重い、仕事が忙しいなど患者さんには事情があります。当院では「今より少しだけ身体を動かしてみましょう」というところから始めます。できていないことを責めるのではなく、今できることを少し増やすという考え方です。
低負荷の運動でも意味があります
合田医師自身も体重管理を行った際、Technogymを使用して週1回・約20分という低負荷の運動を行いました。本人の場合には身体組成を確認しながら治療する中で筋肉量を維持できました。ただし、週1回20分で誰でも筋肉量を維持できるという意味ではありません。
運動不足だけでなく「食べなさすぎ」も確認する
筋肉量が減っている患者さんでは「運動していますか?」だけでなく「食事を減らしすぎていませんか?」ということも確認します。薬で食欲が低下しているうえに食事をさらに減らせば、身体に必要な栄養まで不足する可能性があります。
「ダイエットだから食べない」は目標ではありません
体重を減らすために食事量を見直すことは必要な場合がありますが、「食べなければ食べないほど良い」という治療ではありません。必要な栄養を摂る、過食を減らす、筋肉を守る、脂肪を減らすことを目指します。
目標は「軽い身体」ではなく「軽くて動ける身体」
体重を減らす、身体を少し軽くする、膝や腰への負担を減らす、少し動けるようになる、運動を始める、筋肉を守る、さらに活動量が増える。この相乗効果を作ることが重要です。D-009で目指すものは「軽い身体」ではなく「軽くて動ける身体」です。
筋肉が減っていたら、まず原因を考えます
運動量、食事量、薬による食欲低下、栄養、膝・腰の痛み、急激な減量など、なぜ筋肉が減ったのかを確認します。単純に「運動不足だから運動してください」だけでは終わりません。
まずInBodyの結果を患者さんと一緒に見ます
当院では測定結果を患者さんにも説明します。「体重は3kg減っていますが筋肉が大きく減っています」、または「脂肪は3.5kg減り筋肉が500g増えています」と具体的な数字で確認します。
筋肉が減っていても、いきなり強い運動にはしません
膝や腰の痛み、体格、仕事や家事など患者さんの事情を確認し、「今より少しだけ動いてみましょう」というところから始めます。継続できることを重視します。
週1回20分程度の低負荷運動でも意味があることがあります
合田医師自身も体重管理中、Technogymを使って週1回・約20分の低負荷運動を行い、本人の場合には筋肉量を維持できました。ただし必要な運動量には個人差があります。
まず「歩ける身体」をつくる
歩行は日常生活そのものです。体格が大きい方や膝・腰に痛みがある方には大きな運動になるため、最初から歩数目標を押し付けず、最終的に歩ける身体へ近づくことを目指します。
膝や腰が痛くて運動できない場合は?
体重が重い→膝・腰が痛い→動けない→筋肉が落ちる→活動量が減る、という悪循環を断つため、体重管理と膝・腰の治療を並行します。
痛みの原因があるなら、その治療も必要です
変形性膝関節症、股関節疾患、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなどがあれば、その疾患に対する診断・治療が必要です。必要に応じて画像検査、リハビリテーション、注射治療、手術を含めて検討します。
歩けない時期には、できる運動から始める
歩行が難しい場合には、低負荷の筋力トレーニング、自転車運動、ストレッチ、関節への負担を抑えた運動などを患者さんの状態に合わせて検討します。
筋肉が減っていたら「食事」も必ず確認します
筋肉量が減る原因は運動不足だけではありません。薬で食欲が低下しているところへ、さらに食事を強く制限すると必要な栄養まで不足することがあります。
「食欲がないから食べない」だけではいけません
食欲低下は薬物療法で期待される作用の一つですが、ほとんど食べず急激に体重が減る状態を、そのまま「よく効いている」と評価することはできません。
急激な減量と脱毛
急激な体重減少や栄養不足などを契機に脱毛が起こることがあります。脱毛がみられた場合には、食事内容、減量速度、栄養状態、その他の原因を確認する必要があります。
体重が減らないからといって、すぐ薬を増やさない
体重がほぼ変わらなくても、体脂肪が減り筋肉が増えていれば身体組成としては良い変化です。当院では体重、体脂肪量、筋肉量、運動、食事、副作用を確認して治療を評価します。
InBodyは「測定器」ではなく、治療を考える材料です
結果に応じて運動や食事を見直し、「測る→説明する→治療を考える→また測る」という流れで活用します。
筋肉を守ることは、リバウンド対策にもつながります
当院の診療経験では、筋肉量の減少が少なく運動が習慣化している患者さんは治療終了後も体重を管理しやすい印象があります。ただし筋肉を守れば絶対にリバウンドしないという意味ではありません。
最終的には「薬なしでも動ける身体」へ
脂肪が減る→身体が軽くなる→膝・腰への負担が減る→動ける→運動する→筋肉を守る→活動量が増える→自分で体重を管理できる、という状態を目指します。
よくある質問(FAQ)
Q1.GLP-1治療をすると筋肉も減りますか?
体重減少に伴って除脂肪量が減少することはあります。個人差があるため、必要に応じてInBodyで推移を確認します。
Q2.体重が減っていないのに脂肪が減っていれば成功ですか?
筋肉量が維持または増加しながら体脂肪量が減っている場合には、良い経過と考えることがあります。
Q3.筋肉が減っていたら、すぐ運動量を増やしますか?
必ずしもそうではありません。痛み、運動能力、食事量などを確認し、無理なく継続できる運動から考えます。
Q4.毎日激しい運動が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。患者さんの状態に合わせて継続可能な運動を行うことが重要です。
Q5.膝が痛くて歩けません。運動は無理ですか?
歩行以外にも低負荷筋力訓練、自転車運動、ストレッチなどを検討できます。膝の治療も重要です。
Q6.食欲がないなら食べなくてもよいですか?
極端な食事制限はおすすめしません。必要な栄養まで不足すると筋肉量低下や体調不良につながる可能性があります。
Q7.急に痩せると髪が抜けることがありますか?
急激な減量や栄養不足などを契機に脱毛が起こることがあります。他の原因も含め確認が必要です。
Q8.体重が減らなければ薬を増やした方がいいですか?
体重だけでは判断しません。身体組成、運動、食事、副作用を確認し、承認された用法・用量を踏まえて医師が判断します。
Q9.InBodyは治療終了後も必要ですか?
必要に応じて有用です。筋肉量と体脂肪量の変化を確認できます。
オンラインでメディカルダイエットを相談したい方へ
自由診療による体重管理について【限定解除情報】
ごうだ整形外科では、患者さんの状態・治療目的・適応を確認したうえで自由診療による体重管理を行う場合があります。自由診療は公的医療保険の対象外です。
治療内容
医師が問診・診察を行い、体重、BMI、既往歴、服薬状況、健康状態、治療目標などを確認します。食事・運動療法を基本として、医学的に適切と判断した場合に薬物療法を組み合わせます。院内では必要に応じてInBodyによる身体組成測定を行います。
治療期間・回数の目安
治療期間には個人差があります。当院では半年~1年程度を一つの目安とし、原則として4週間ごとに体重、治療効果、副作用、運動状況などを確認します。
費用
ウゴービ:0.25mg 14,800円、0.5mg 19,800円、1.0mg 29,800円、1.7mg 39,800円、2.4mg 49,800円。ゼップバウンド:2.5mg 15,800円、5mg 29,800円、7.5mg 39,800円、10mg 49,800円、12.5mg 59,800円、15mg 69,800円。マンジャロ:2.5mg 9,800円、5mg 19,800円、7.5mg 29,800円、10mg 39,800円、12.5mg 49,800円、15mg 59,800円(各4週間分)。診療料込み、送料1回1,700円、単月利用、継続縛りなしです。
主なリスク・副作用
悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛などの消化器症状がみられることがあります。また、急性膵炎、胆嚢・胆道系疾患、低血糖など、注意が必要な副作用があります。
国内承認について
ウゴービおよびゼップバウンドは日本国内で一定条件の肥満症に対して承認されています。マンジャロは日本国内では2型糖尿病について承認されています。
マンジャロの適応外使用について
マンジャロを肥満・減量目的で使用する場合は、国内で承認された効能・効果とは異なる適応外使用となります。
入手経路
当院は国内製薬会社、、卸会社から入手します。
医薬品副作用被害救済制度について
国内承認医薬品であっても、承認された効能・効果や用法・用量と異なる適応外使用を行った場合、医薬品副作用被害救済制度の救済給付の対象とならない可能性があります。
お問い合わせ
治療内容、費用、使用薬剤、副作用、運動療法等について不明な点がある場合は、ごうだ整形外科へお問い合わせください。
まとめ|「痩せる」だけでなく「動ける身体」を残す
同じ3kg減でも、脂肪−3.5kg・筋肉+0.5kgと、脂肪ほぼ変化なし・筋肉−3kgでは意味が違います。筋肉が減っていたら、もっと薬を強くするのではなく、なぜ筋肉が減ったのかを考えます。
今より少しだけ動く。必要な食事は摂る。脂肪を減らす。筋肉を守る。膝や腰を治療する。少しずつ活動量を増やす。この積み重ねで「軽い身体」ではなく「軽くて動ける身体」を目指します。
監修者プロフィール
合田 猛俊
医療法人社団GOZEN 理事長
整形外科専門医、医学博士
佐々木 拓郎
北7条ごうだ整形外科 院長
整形外科専門医、医学博士、産業医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター
清藤 直樹
岩見沢ごうだ整形外科 院長
整形外科専門医、医学博士、日本人工関節学会認定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

