K-003 膝の痛みと一緒に現れる症状【後編】引っかかる・ロッキング・力が抜ける・急に腫れる|注意したい膝の症状

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K-003 膝の痛みと一緒に現れる症状

【後編】引っかかる・ロッキング・力が抜ける・急に腫れる|注意したい膝の症状

監修

合田 猛俊

佐々木 拓郎

清藤 直樹

前編では、膝の腫れ、関節水腫、熱感、発赤、関節液について解説しました。

後編では、「膝が引っかかる」「急に伸びなくなる」「ガクッと力が抜ける」「ゴリゴリ音がする」「外傷後に急に腫れた」といった症状について解説します。

11.膝が「引っかかる」場合

膝を曲げ伸ばししたときに、「何かが中で引っかかる感じがする」という患者さんがいます。

この場合には、関節内で何かが動きを邪魔していないかを考えます。代表的なのが半月板損傷です。断裂した半月板の一部が正常な位置から移動すると、膝の曲げ伸ばしで引っかかりを感じることがあります。

また、関節内の遊離体が原因になる場合もあります。

12.「ロッキング」とは?

半月板損傷の中でも、断裂した半月板が関節内に入り込み、膝が物理的に動かなくなることがあります。これを機械的ロッキングと呼びます。

典型的には、急に膝が伸びなくなった、一定の角度で止まる、何かが挟まっている感じがある、といった症状です。

一方で、強い痛みや筋肉の緊張のために膝を動かせない状態もあります。したがって、「伸びない=必ず半月板が挟まっている」わけではありません。

13.徐々に膝が伸びなくなった場合

急に伸びなくなったのではなく、「以前より少しずつ膝が伸びなくなった」という場合には、関節そのものの硬さを考えます。

変形性膝関節症などが進行すると、関節包の拘縮、骨の変形、関節水腫、痛みによる動作制限などによって、膝の伸展が制限されることがあります。

特に後方関節包が硬くなると、膝裏に突っ張るような痛みを感じる場合があります。

14.深く曲がらない場合

正座ができないほど膝が曲がらない場合にも、原因は一つではありません。変形性膝関節症、関節水腫、関節拘縮、痛みによる動作制限などを考えます。

診察では、どの角度まで曲がるのか、その途中で痛みが出るのか、最後で硬く止まるのかを確認します。

15.「ガクッと力が抜ける」場合

患者さんから「歩いていると突然膝がガクッとなる」「膝が抜ける感じがする」と言われることがあります。このような症状をgiving wayと表現することがあります。

前十字靱帯などの損傷で膝に不安定性がある場合にみられる症状の一つです。

ただし、靱帯損傷だけが原因ではありません。関節に水や血液がたまって腫れている場合や、痛みによって大腿四頭筋が十分に働かない場合にも、膝が抜けるように感じることがあります。

そのため、「ガクッとする=十字靱帯損傷」とは限りません。

16.ゴリゴリ音がする

膝を動かすと、「ゴリゴリする」「ザラザラする」という患者さんもいます。

変形性膝関節症や膝蓋大腿関節の軟骨面に不整があると、動かしたときに摩擦感や音を感じることがあります。

ただし、音がするだけで病気とは限りません。重要なのは、痛みを伴うか、腫れを伴うか、引っかかるか、動きが悪くなっているかという点です。

17.「パキン」と引っかかる場合|タナ障害

膝を曲げ伸ばししたときに、「パキン」「コクッ」という音とともに引っかかる感覚がある場合には、滑膜ひだ(plica)が関係することがあります。日本では一般にタナ障害と呼ばれます。

滑膜ひだが肥厚したり炎症を起こしたりすると、膝の動きの中で引っかかり、音や痛みを生じることがあります。

ただし、膝の音にはさまざまな原因があるため、音だけでタナ障害と診断することはできません。

18.外傷後、数時間で一気に腫れた場合

スポーツや転倒の直後から数時間以内に、膝が急速にパンパンに腫れてきた場合には、関節内出血を考えます。

外傷後の急速な関節血症では、前十字靱帯損傷、関節内骨折、膝蓋骨脱臼、骨軟骨損傷などを重要な原因として考えます。

一方、翌日以降に比較的ゆっくり腫れてくる場合には、出血だけでなく、外傷後の滑膜炎や関節水腫なども考えます。

19.半月板損傷でも出血することがあります

半月板はすべてが無血管ではありません。外周部には血流があります。

そのため、外周部の半月板が損傷すれば出血を伴うことがあります。

ただし、孤立した半月板損傷では前十字靱帯断裂などと比べ、受傷直後から大量の関節血症を起こすケースは多くありません。

20.膝蓋骨脱臼後も急速に腫れることがあります

膝蓋骨が外側へ脱臼すると、内側膝蓋大腿靱帯、関節包、骨軟骨などが損傷することがあります。

その結果、関節内出血を起こして膝が早い段階で腫れることがあります。

膝蓋骨が自然に元へ戻っている場合には、患者さん自身が「脱臼した」と気づいていないこともあります。

そのため、「膝が外れたような感じがした」「転倒した直後から一気に腫れた」という問診も重要です。

21.こんな膝の腫れは早めに受診してください

膝が赤く熱を持っている、発熱を伴う、急激に大きく腫れた、痛くて体重をかけられない、膝をほとんど曲げ伸ばしできない、外傷後に急速に腫れてきた、強い痛みが急に出た場合には、単に経過を見るのではなく早めの受診を勧めます。

特に、赤く熱を持ち、発熱を伴う関節では感染性関節炎を除外する必要があります。

22.関節液検査では何を調べる?

感染や結晶性関節炎を疑って関節穿刺を行った場合には、採取した関節液を検査します。

主に、細胞数・分画、Gram染色、細菌培養、CPPDや尿酸塩などの結晶を調べます。

感染性関節炎の診断では、関節液から原因菌を確認することが特に重要です。

23.血液検査は何を見る?

急性炎症が強い場合には、白血球数やCRPなどの炎症反応を血液検査で確認します。

ただし、血液検査だけで感染性関節炎を確定したり、完全に否定したりすることはできません。関節の診察、関節液検査、血液検査を組み合わせて判断します。

24.感染を疑うときの抗菌薬

感染性関節炎が疑われる場合には、治療を急ぐ必要があります。

敗血症など緊急性が極めて高い場合を除き、可能であれば抗菌薬を始める前に関節液や血液培養を採取します。先に抗菌薬を使用すると、培養で原因菌が見つかりにくくなるためです。

一方、敗血症や敗血症性ショックが疑われる場合には、検査のために治療開始を不必要に遅らせてはいけません。

25.レントゲン・MRIをどう使う?

外傷後に膝が急速に腫れた場合には、まず骨折がないかを確認するためレントゲンを行います。

しかし、前十字靱帯、後十字靱帯、半月板、軟骨、骨軟骨損傷などは、単純レントゲンだけでは十分に評価できません。

そのため、診察や外傷歴から靱帯・半月板損傷などが疑われる場合にはMRIを検討します。

レントゲンとMRIはどちらが優れているかではなく、何を疑っているかによって使い分けます。

K-003まとめ|腫れ・水・引っかかりは「膝の中で何が起きているか」の手がかり

膝痛では、痛みの強さだけでなく、腫れ、水、熱感、発赤、引っかかり、ロッキング、力が抜ける、音、外傷後の腫れる速さが診断の重要な手がかりになります。

特に、赤く熱い+強く腫れている+発熱がある場合には、感染性関節炎を見逃さないことが重要です。

また、外傷後に短時間で一気に腫れた場合には、関節内出血を伴う重要な靱帯損傷や骨折などを考えます。

ごうだ整形外科では、症状の出方+診察+関節液+血液検査+レントゲン+必要に応じてMRIを組み合わせて、膝の中で何が起きているのかを考えます。

膝の腫れ・水・引っかかりについてよくある質問

Q1.膝に水がたまったら、必ず抜いた方がいいですか?

必ずしもそうではありません。水の量、痛み、原因、診断上関節液を調べる必要があるかなどを考えて判断します。

Q2.水を抜くと癖になりますか?

水を抜いたこと自体で癖になるわけではありません。水を作る原因が残っていれば、再びたまることがあります。

Q3.濁った関節液なら偽痛風ですか?

見た目だけでは判断できません。結晶性関節炎、感染性関節炎、炎症性関節炎などでも濁ります。必要に応じて結晶検査や培養を行います。

Q4.膝が引っかかるのは半月板ですか?

半月板損傷は原因の一つですが、遊離体や滑膜ひだなど他の原因もあります。

Q5.膝がガクッと抜けるのは前十字靱帯損傷ですか?

前十字靱帯損傷などの不安定性でみられますが、水腫や痛みによって筋力が十分発揮できない場合にも似た症状が出ます。

Q6.膝がゴリゴリ鳴るのは軟骨がなくなっているからですか?

変形や軟骨面の不整で音がすることはありますが、音だけで軟骨の状態は判断できません。

Q7.外傷後すぐ膝が腫れた場合は受診した方がいいですか?

はい。短時間で急速に腫れる場合には、前十字靱帯損傷、骨折、膝蓋骨脱臼などによる関節血症の可能性があります。

Q8.赤く熱い膝は様子を見ても大丈夫ですか?

感染性関節炎や結晶性関節炎などの可能性があるため、特に強い痛みや発熱を伴う場合には早めの受診が必要です。

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  • K-001「膝のどこが痛い?|痛む場所から考える原因」
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医学的確認について

本記事は、合田医師の一般整形外科診療における臨床経験と診察手順を一次情報として構成し、標準的な整形外科・リウマチ領域の医学知見と照合して患者さん向けに編集しています。特に、関節液の外観だけで感染・CPPDを確定しないこと、CPP結晶が見つかっても感染性関節炎を完全には否定できないこと、半月板外周部には血流があること、外傷直後の急速な腫脹は関節血症を示唆すること、感染性関節炎では速やかな関節穿刺が重要であることを反映しています。

主な参考文献・学術資料
  • Guideline for management of septic arthritis in native joints (SANJO). Journal of Bone and Joint Infection, 2023.
  • AAOS OrthoInfo. Meniscus Tears.
  • AAOS OrthoInfo. ACL Injury: Does It Require Surgery?
  • AAOS OrthoInfo. Patellar Dislocation and Instability in Children.
  • American Family Physician. Acute Knee Effusions: A Systematic Approach to Diagnosis.
監修者プロフィール

合田 猛俊

医療法人社団GOZEN 理事長/整形外科専門医/医学博士

佐々木 拓郎

北7条ごうだ整形外科 院長/産業医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター

清藤 直樹

岩見沢ごうだ整形外科 院長/整形外科専門医/医学博士/日本人工関節学会認定医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター

記事情報

記事番号:K-003

記事名:膝の痛みと一緒に現れる症状|腫れ・水・熱感・引っかかり・力が抜ける

掲載区分:後編/引っかかり・ロッキング・giving way・外傷後の急速な腫脹

シリーズ:ごうだ整形外科の膝痛ナビゲーション

監修:合田 猛俊/佐々木 拓郎/清藤 直樹

公開日:未定

更新日:未定