L-009 腰のどこが痛い?|痛む場所から考えられる病気 腰の真ん中・片側・お尻・太もも・足まで|痛む場所から腰痛の原因を考える

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aL-009 腰のどこが痛い?|痛む場所から考えられる病気
腰の真ん中・片側・お尻・太もも・足まで|痛む場所から腰痛の原因を考える
監修

合田 猛俊
佐々木 拓郎
清藤 直樹


結論|痛む場所は重要な手掛かりですが、場所だけでは診断できません

「腰の真ん中が痛い」
「右側だけが痛い」
「腰からお尻にかけて痛い」
「太ももやふくらはぎまで痛みが広がる」

腰痛といっても、患者さんが痛みを感じる場所はさまざまです。

腰痛を診断するとき、どこが痛いのかは非常に重要な情報です。

腰の中央が痛ければ、背骨や椎間板、椎間関節などを考えます。片側だけなら、椎間関節や筋肉、神経などが原因となっている可能性があります。

さらに、お尻から太もも、ふくらはぎ、足へと痛みが広がっている場合には、神経との関係がより重要になります。

ただし、

「右側が痛いからこの病気」
「お尻が痛いから坐骨神経痛」

というように、痛む場所だけで病名を決めることはできません。

ごうだ整形外科では、痛む場所だけでなく、

などを組み合わせて、痛みの原因を絞っていきます。

この記事では、「痛む場所」を入口として、どのような原因が考えられるのかを分かりやすく解説します。


1.腰痛では「どこが痛いか」が重要です

腰痛の診察では、まず患者さんが実際にどこを痛いと感じているのかを確認することが重要です。

「腰が痛い」という言葉だけでは、痛みの場所を正確に判断できないことがあります。

そのため診察では、

「このあたりです」

と患者さん自身に痛い場所を指したり、触ったりしてもらうことがあります。

これは意外に重要です。

たとえば患者さんが「すねの前が痛い」と話していても、実際に痛い場所を触ってもらうと、医学的にいう「前」ではなく、L5神経の支配領域に近い場所を示していることがあります。

また、「股関節が痛い」と訴えていても、患者さんが実際に指しているのは股関節そのものではなく、お尻の柔らかい部分であることもあります。

患者さんが使う言葉と、医学的な痛みの場所が必ずしも一致するとは限りません。

そのため、言葉だけでなく「実際にどこが痛いのか」を確認することが診断の第一歩になります。


痛む場所から考えられる主な原因
痛む場所 考えられる主な原因・部位
腰の真ん中 骨、椎間板、椎間関節など
腰の右側・左側 椎間関節、脊柱起立筋などの筋肉、神経など
お尻 腰椎由来の神経痛、仙腸関節、股関節、梨状筋など
太ももの前 股関節、L4神経領域など
太ももの外側 L5神経領域、大腿外側皮神経など
太ももの後ろ S1神経領域、筋肉・筋膜損傷など
ふくらはぎ・足 L4・L5・S1などの神経症状

この表は、あくまで原因を考えるための目安です。

痛む場所だけで病名を自己診断することはできません。

同じ場所が痛くても、原因となる病気や組織が異なることがあるからです。


2.腰の真ん中・背骨のあたりが痛い

腰の真ん中、特に「背骨そのものが痛い」と感じる場合には、まず、

などが痛みに関係していないかを考えます。

ただし、同じ「腰の真ん中の痛み」でも、診察で確認すると特徴が異なります。


押したり叩いたりして痛む場合

圧迫骨折など、骨そのものに問題がある場合には、痛みのある場所を押したときに強く痛んだり、背骨を軽く叩いたときに響くような痛みが出たりすることがあります。

これを叩打痛といいます。

特に高齢の方や骨粗鬆症のある方では、転倒などの明らかな外傷がなくても椎体がつぶれるように骨折することがあります。

いわゆる「いつの間にか骨折」です。

「何もしていないのに突然腰が痛くなった」という場合にも、年齢などを考慮しながら圧迫骨折の可能性を考えます。

→ 関連記事:L-008「腰椎圧迫骨折とは?」


椎間板が原因となっている場合

椎間板に問題がある場合にも、腰を押したときに痛みを感じることがあります。

さらに、椎間板に圧力が加わることで、腰だけではなく離れた場所へ痛みが広がる「放散痛」が出ることがあります。

椎間板ヘルニアなどでは、前かがみになることで症状が強くなる場合があります。

→ 関連記事:L-003「腰椎椎間板ヘルニアとは?」


椎間関節が原因となっている場合

椎間関節は背骨の後方にある関節です。

椎間関節由来の痛みでは、単純に「押すと痛い」という所見だけではなく、体を動かしたときに痛みが出るかどうかが重要な手掛かりになります。

このように、同じ「腰の真ん中が痛い」という症状でも、

押して痛いのか、叩いて痛いのか、動かしたときに痛いのか、痛みが別の場所まで広がるのか

によって、考え方は変わります。


3.腰の右側だけ・左側だけが痛い

「腰の右側だけが痛い」
「左側だけ痛みが続いている」

という患者さんも少なくありません。

片側の腰痛では、

など、複数の原因を考える必要があります。


筋肉が原因の痛み

筋肉由来の痛みでは、一般的に安静にしているときには痛みが少なく、体を動かしたときに痛むという特徴があります。

また、痛みの原因となっている筋肉を直接押すと痛みが出ることがあります。

たとえば長時間の草取りや中腰での作業、慣れない運動など、痛くなった原因に心当たりがあり、動作時に痛みが強くなる場合には、筋肉や筋膜などが関係している可能性があります。


神経が原因の痛み

神経由来の痛みでは、筋肉の痛みとは異なり、安静にしていても痛みが続くことがあります。

また、神経の走行に沿って腰からお尻、太もも、下腿などへ痛みが広がることがあります。

どの動作で痛みが強くなるかも重要です。

たとえば、

病態 痛みを考える手掛かりとなる動作
腰椎椎間板ヘルニア 前屈で症状が誘発されることがある
腰部脊柱管狭窄症 後屈で症状が誘発されることがある
椎間孔狭窄 側屈などで症状が誘発されることがある

もちろん、この動作だけで病名を確定するわけではありません。

痛む場所、発症の仕方、神経学的所見、画像検査などと合わせて判断します。

→ 関連記事:L-004「腰部脊柱管狭窄症とは?」


片側の強い腰痛では腰以外の原因も考えます

右または左の腰が痛いからといって、必ずしも背骨や筋肉が原因とは限りません。

たとえば尿路結石では、突然、非常に強い痛みが出ることがあります。

腎臓周辺を叩いたときに痛みが出たり、血尿を伴ったりすることもあります。

このため、片側の腰痛を診察するときには、必要に応じて腰以外の病気も考えることが重要です。


4.お尻が痛い|「坐骨神経痛」とは限りません

「右のお尻だけが痛い」
「腰よりもお尻の方が痛い」

このような症状は非常によくあります。

ここで注意したいのが、

「お尻が痛い=坐骨神経痛」ではない

ということです。

お尻の痛みには、

など、さまざまな原因があります。

そのため、痛む場所だけで坐骨神経痛と決めることはできません。


「股関節が痛い」と言っても、本当に股関節とは限りません

診察では、患者さんが「股関節が痛い」と言いながら、お尻の柔らかい部分を指していることがあります。

医学的に股関節そのものが原因となっている場合には、お尻よりも鼠径部、つまり足の付け根の前側に痛みを感じることがあります。

変形性股関節症などの関節由来の痛みでは、安静にしているだけで強く痛むというより、

立ち上がった瞬間に痛む 股関節を動かすと痛む

といった特徴が診断の手掛かりになります。

一方、骨折などの外傷がある場合には、安静時にも強い痛みが出ることがあります。


仙腸関節が原因のこともあります

仙腸関節は、骨盤の仙骨と腸骨をつなぐ関節で、お尻の内側付近にあります。

仙腸関節の痛みは意外に見落とされることがあります。

診察では、

などを確認します。

特に出産を経験した女性では、出産後の仙腸関節周辺の変化が痛みに関係している場合もあります。


坐骨神経痛は必ず足まで痛むわけではありません

「坐骨神経痛なら、お尻から足先まで全部痛くなる」と考えている方もいるかもしれません。

しかし、実際の症状はそれほど単純ではありません。

坐骨神経を構成する神経に問題が起きた場合、

というように、症状がさまざまな範囲に現れることがあります。

神経の走行に沿って一連の痛みとして出ることもあれば、途中の一部分だけが痛く感じられることもあります。

→ 関連記事:L-002「坐骨神経痛とは?」


座っているとお尻が痛い場合は梨状筋も考えます

梨状筋は、お尻の深い部分にあり、坐骨神経と近い位置を走る筋肉です。

梨状筋が緊張することで坐骨神経が刺激され、殿部痛などが出る梨状筋症候群があります。

特徴の一つとして、

歩いているときにはそれほど痛くないのに、座っていると痛くなる

ということがあります。

診察では梨状筋を直接触り、

などを確認します。

ただし、腰椎椎間板ヘルニアでも似た症状が出ることがあります。

そのため「座っているとお尻が痛い」という症状だけで梨状筋症候群と診断するのではなく、腰椎由来の神経症状との鑑別が重要です。


前半のポイント

ここまで見てきたように、

「どこが痛いか」は原因を考えるための重要な情報ですが、それだけで診断が決まるわけではありません。

特にお尻の痛みは、腰椎、神経、股関節、仙腸関節、梨状筋など複数の原因が考えられます。

さらに痛みが太もも、ふくらはぎ、足へと広がっていく場合には、神経の支配領域を考えることがより重要になります。

後半では、太ももの前・外側・後ろ、下腿・足まで広がる痛みの考え方から、ごうだ整形外科で実際にどのように原因を絞り、レントゲン・MRI・神経ブロックへつなげているのか、さらに「腰痛だと思っていたら腰以外の病気だった」という見逃してはいけない腰痛まで解説します。